6.遺留分とは
6-1. はじめに
これまで 4. 遺言書とは と 5. 相続をめぐるトラブル で、遺言についての話をしてきました。
正しいルールに則って書かれた遺言書は、原則そのまま有効となる事が分かりましたね。
では、あなたが全く知らないAさんがいるとして、遺言書に「Aさんに全財産を相続する」と書かれていた場合はどうでしょうか。
相続を受けるべき親族であるあなたは、到底納得できないはずです。
この項目では、そんな事態を避けるために定められた「遺留分」の制度について解説していきます。
6-2. 遺留分とは
「遺留分」とは、民法で定められている兄弟姉妹を除く法定相続人に、法律上取得することを保障されている相続財産の割合のことです。
原則、有効な遺言書がある場合は、死亡した人の遺志を尊重するため、その内容が優先されます。
しかし、このような場合、残された家族が住む家を失って生活が成り立たなくなる等の不利益を被ることが考えられます。
ここで遺留分制度が、一定の相続人に最低限の財産を相続できるよう保障しているのです。
※遺留分は遺言によっても奪うことができないものとされています。
6-3. 誰がいくらもらえるのか
遺留分の「誰が」「いくら」もらえるかについては、民法に規定されています。
まず「誰が」について。
対象は、死亡した人の配偶者・子・直系尊属(父母や祖父母)です。
胎児や代襲相続人(死亡した人の子が死亡していた場合はその子(孫))にも認められています。
次に「いくら」について。
法定相続人が直系尊属のみである場合は、相続財産の3分の1で、それ以外の場合(法定相続人が配偶者のみ、子のみ、配偶者と子、配偶者と直系尊属)は、相続財産の2分の1です。
これらは全体の遺留分となるので、各自の遺留分はさらに各自の法定相続分を掛けた額となります。
また、もらうだけでなく遺留分を放棄することもできます。(生前の場合は家庭裁判所の許可を得る必要があります。)
6-4. 遺留分減殺請求権の行使
では、無茶な遺言書により遺留分を侵害された場合、どのようにして遺留分を請求できるでしょうか。
遺留分の請求をすることを「遺留分減殺請求権の行使」といいますが、必ずしも訴えの方法による必要はなく、相手方に意思表示をすることで請求権を行使することができます。
つまり、遺留分を侵害した相手方と話し合いをして、交渉を成立させ、遺留分を返還してもらうことができるのです。
この場合は後日の紛争防止のため、合意書を取り交わして支払いの約束について書面に残しておきましょう。
また、遺留分減殺請求権には消滅時効がありますので、意思表示は内容証明郵便を使って請求権を行使した時点を明確にしておくことをお勧めします。
万が一ここで解決しない場合、家庭裁判所の調停を申し立てることになります。
遺留分についての事件は相続に関する紛争ですので、家庭裁判所の調停手続きとなり、ここで話し合いとなります。
これでも解決しない場合は地方裁判所にて訴訟を提起することとなります。
6-5. まとめ
重要な一定の相続人には、遺言書に勝る遺留分の請求権があることがわかりました。
ただし、実際に行使する場合は相続財産の把握や財産の分配割合などが重要となってくるため、弁護士などのプロに相談することをお勧めします。
依頼費用はかかりますが、プロに依頼することで失敗せず手続きをとることができます。
また、遺留分の請求権行使には時効があり、調査等にも時間がかかる場合がありますので、遺言書が見つかった時は早めに相談されることをお勧めします。
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